カテゴリー: あゆみ
2015年3月15日 礼拝説教要旨
恵みに踏みとどまれ
政所 邦明 牧師
ペトロの手紙一 第5章12-14節
主題聖句:「…短く手紙を書き、…これこそ神のまことの恵みであることを証しました。この恵みにしっかり踏みとどまりなさい。」
ペトロの手紙一 5:12
ご一緒に読んで、礼拝をしてきたペトロの手紙一も最後の部分になりました。パウロは目の病気を患っていたと言われています。十分に字を書くことができず、いわゆる〝口述筆記〟をしたのかもしれません。その際の助け手がシルワノです。それでも最後の挨拶は自筆で書いたと考えられます。たくさん書けない分、訴えたいことを短く凝縮したのでしょう。全体を一言でまとめて「これこそ神のまことの恵み」(12節)と申しました。
この手紙で「恵み」と新共同訳聖書に訳されている文字は9個です。もとの言葉は「恵み」でも、日本語にする場合、別の言葉に訳されたものが2つあります。「恵み」を「御心に適う」と訳しました。(第2章19、20節)不当な苦しみ、善を行っても苦しみ、それを耐え忍ぶなら、それは神の「恵み」、御心に叶い、神がお喜びになることだとペトロは言ったのです。
「恵み」には「与えられる」という修飾語が付いています。(1章10,13節) いくら神が与えられるとしても、苦しみはいやで避けたいものです。しかし、手紙を受け取る諸教会は苦しみと試練の中に置かれていました。迫害が起こっているのかもしれません。そのような情況を知りつつ、主イエスが十字架で不当な苦しみを受け、ご自分の尊い血で、先祖伝来の空しい生活からあなたがたを救ってくださったとペトロは語りました。最後にもう一度「これこそ神のまことの恵み」と念を押したかったのです。神の恵み以外にキリスト者が苦しみに耐えて立つ場所はないからです。
2015年3月1日 礼拝説教要旨
謙遜を身につけよ
政所 邦明 牧師
ペトロの手紙一 第5章 5-7節
主題聖句:「同じように、若い人たち、長老に従いなさい。皆互いに謙遜を身に着けなさい」
(ペトロの手紙一 第5章5節)
2章は主人の身分にある人、奴隷の身分にある人、またそれぞれ家庭で夫と妻の立場にある人々への勧めでした。これは何もキリスト者だけに限ったことではなく、信仰を持たない人にも当てはまる倫理でしょう。
ところが5章に入りまして、まず長老たちへ勧めます。「神の羊の群れを牧しなさい。」(5:2)「羊の群れ」とは教会です。つまり教会内の秩序について扱っています。長老たち、すわなち、教会で指導的な立場にある人と若い人たち、すなわち信仰に入ってまだ日の浅い信者たちがお互いどのように接すればよいかペトロは薦めているのです。
長老たちは、自ら進んで、献身的に群れ全体の世話をするように求められます。この世で経験したことをたくさん蓄えているでしょう。しかし、世と世の欲の危うさと、信仰に立たないでこの世の知識に頼ったため、失敗に陥った体験も持っているかもしれません。先輩の信仰者たちにペトロが期待するのは、この世を愛するよりも神を愛して苦難を切り抜けた信仰を長老たちが後輩に伝えることなのです。
若者たちは自信過剰に陥り、年配者たちの信仰経験を軽く見る傾向にあります。「頑固で融通がきかない」と決めつけてしまいます。考えが浅はかなのです。教会での年長者と若い人とは互に謙遜になることを求められます。キリストが神であられたのに人となられたクリスマスに、キリスト者同士の謙遜の原点があるのです。

