政所 邦明 牧師
祈り、愛しあう
ペトロの手紙一 第4章7-9節
主題聖句:「愛は多くの罪を覆う。」
(ペトロの手紙一 第4章8節)
イエス・キリストの復活によって最初の教会が生み出されます。福音は各地に広がり諸教会ができていきます。その諸教会が共通に抱いておりましたのは、“神がご自身の力と決断とにおいて今ある世界を終わらせる”という信仰です。それは〝地球の爆発〟〝この世の滅亡〟ではありません。良き意志をもって業をお始めになったお方が、無責任に途中で放り出したり、失敗した残骸を残したりはなさらないのです。最後までご意志を貫いて、わたしたち人間の救いを完成させてくださいます。
ですから、むやみに怯えたり、騒ぎたてたりするのを慎まねばなりません。この8節の前に「身を慎んで、よく祈りなさい。」と勧められています。「身を慎む」とは〝しらふ〟、つまり酒に酔っ払っていないことです。自分の罪にも、移ろいやすい感情にも振り回されず、「覚めた目で、冷静に、神のなさる業にじっと目を留めていなさい」とペトロ先生は命じられます。祈りなくして冷静でおれるはずがありません。
人の弱さや失敗につけ込み、あばいて、攻撃する時代です。そっとしておき、傷に触れないで優しく包んであげれば、悩んでいる人はどれほど気が楽でしょうか。しかし、ここでは〝弱さ〟〝失敗〟ではなく罪が問題とされています。罪を覆うのです。罪をそのままにして見てみぬふりをするのではなく、罪を赦すのです。「われらに罪を犯す者を、われらが赦すごとく」と主イエスは教えられました。その方が十字架の上で、「父よ、彼らを赦したまえ」と祈られました。赦しを後輩たちに説きながら、ペトロは自分のことを思っていたのです。赦しの恵みを数え、感謝していたに違いありません。