2012年10月7日 礼拝説教要旨

手ずから書いた手紙

政所邦明牧師

 

フィリピの信徒への手紙 第4章21-22節 

主題聖句:「主イエス・キリストの恵が、あなたがたの霊と共にあるように。」         

フィリピの信徒への手紙 第4章22節 

        

 パウロはフィリピの信徒への手紙を書き終えるに当たり、まことに要領よく、簡潔な挨拶と祝福の祈りで締めくくります。一説ではパウロは目の病気を患っていたと言われます。これまでの件(くだり)は身の回りの世話をしてくれる誰かに口述筆記をして貰ったのかもしれません。英文タイプが何十年も前から普及していた欧米でも、手紙の最後は自筆でサインします。パウロも最後は自筆で書いたのではないでしょうか。

外交辞令に陥りやすい挨拶の部分にもパウロの信仰が現れます。私たちはよく「あなたのために祈っています」と書きます。そう認め(したため)ながら、相手のためにどれほど祈ったであろうかと反省させられるのです。…「本当に祈っている人は恩着せがましく『祈っています』と軽々しく言わないのではないだろうか」との思いが頭をよぎります。… 祈りにおいてこそ「不言実行」が求められるのです。

「偽善者たちは人に見てもらおうと、…祈りたがる。しかしあなたがたは彼らのまねをしてはならない」と主イエスは言われました。「むしろ隠れたところにおられるあなたがたの父に祈りなさい」と勧められます。[マタイ第6章5~8節]どんな内容を何時、どのように祈るかはその人と神との間の秘密です。親子であっても、配偶者であっても立ち入ることはできません。神に対する絶対信頼があり、この御方さえ知っておられればよいし、一番確かだと思っているからです。結びのさりげない一行にパウロの深い祈りを垣間見る思いがします。見せようとしたのではなくほとばしり出たのです。

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