キリストの苦しみに与る
政所 邦明 牧師
ペトロの手紙一 第4章12-16節
主題聖句:「愛する人たち、あなたがたを試みるために身にふりかかる火のような試練を…驚き怪しんではなりません。」
(ペトロの手紙一 第4章12節)
三度も主イエスを知らないと言って裏切ったペトロが、立ち直ってゆきます。ほかの弟子たちと同じように、ペテロにも、復活なさった方が出会ってくださいました。「ペトロの信仰が無くならないように」祈っておられたのです。(ルカ22:32)主イエスを愛するなら、羊たち(信者)の世話をするように、復活の主はペトロに3度命令されました。(ヨハネ福音書21章15節以下) 主イエスの期待と祈りに導かれ、支えられるようにして〝牧会者〟(魂を配慮する人)へとペトロは成長していくのです。
その後何十年、伝道者としての道を歩んだのでしょうか。しかし、きっと〝試練〟と呼ぶような苦難の道をくぐり抜けて来たはずです。キリストの、み足の後に従い、教会と共に生きてくださるキリストと歩みを合わせてきたペトロのことです。主に従う厳しさは予想以上だったでしょう。骨身にこたえたはずです。しかし、厳しい生活の中で喜びもまた増し加わり、主への愛のゆえに、苦しみを厭うこともありませんでした。世の終わりにキリストにお目にかかる望みも戦いに耐える力となったはずです。
熾烈な戦いの中で、キリストの苦しみに与れば与るほど、ペトロと主との絆は強くなってゆきます。ペトロは〝上から目線〟で、ものを言ってはおりません。試練は始めから織り込み済みです。試練に出会っても当惑しないように、自分の体験から信者たちを安心させようとしています。主を愛し、従うことの喜びと素晴らしさとを何十年かで味わってきたのです。