ダビデの死
政所 邦明 牧師
列王記上 第2章1-12節
ヘブライ人への手紙 第12章10-12節
主題聖句:「わたしはこの世のすべての者がたどる道を行こうとしている。あなたは勇ましく雄々しくあれ。」
列王記上 第2章2節
ダビデは自分の死期が迫っていることを悟っています。この世界に存在する“生きとし生けるもの”が「死すべき限界のあるもの」であることはだれでも認めざるをえません。しかし、自分の死も神の御手の中にあることをダビデは信じていたのです。誰にとっても死が厳しい現実であるのには変わりがありません。しかし、死にゆく自分をはかなんだり、ヤケを起こして、取り乱すようなことはしませんでした。…神のご支配の中で、命を与えられ、王として任命され、その役目が終わったので死んでゆく。…生きるにしても、死んでゆくときにも、“神のもの”にされている。このことにたった一つの慰めをダビデは見出していたのではないでしょうか。
「たとえわたしは死の陰の谷を歩むとも、わざわいを恐れません。あなたがわたしと共におられるからです。」(詩篇第23篇4節:口語訳)のダビデの言葉が響いてきます。死に際してのダビデの気持ちをこれほど端的に表している言葉はないと思います。信仰があるからこそ言えた言葉なのです。
神が一方的にお選びになり、ダビデを王としておたてになったのは彼の人生において決定的でした。(サムエル記上第16章12節)さらに「ダビデの子孫によって王座を堅く据え、王国がゆるぎのないものする。(サムエル記下第7章13,14節)」と神はダビデに約束されます。
ソロモンに「勇ましく、雄々しくあれ」と励まします。信仰を息子に継いでもらいたいと思いました。一番確かな方にしがみついて離れないように促したのです。神から離れないことこそ、ほんとうの強さの源なのです。