「 まことの王 」
政所 邦明 牧師
サムエル記 下 第6章12-23節
マタイによる福音書 第2章1-12節
主題聖句:「主の箱がダビデの町に着いたとき…」
サムエル記下 第6章16節
サウルに追いかけられてダビデが逃げまわっていた時も、イスラエルとペリシテ軍との戦いは続いておりました。再び戦闘が起こり、サウルもヨナタンも戦死してしまいます。全イスラエルは新しいリーダーを求めて、ダビデに白羽の矢を立てます。ヘブロンという町で、ダビデは王に就任しました。
しかし、神は新しい都を準備し、外国人のエブス人が住んでいた町エルサレムを選んでおられたのです。戦闘の末、ダビデはこの要害の町を陥れます。そして、エルサレムは「ダビデの町」と呼ばれるようになりました。
ルカによる福音書のキリスト誕生の記述に従えば、「ダビデの町」は出身地ベツレヘムです。ところがサムエル記下によるとエルサレムもまた「ダビデの町」なのです。この6章には神の臨在を表す「神の箱」がエルサレムに運ばれ、安置される経緯が書かれています。この町は確かに戦いに勝って、ダビデが手に入れた都です。しかし、神の箱が安置されたのは“神がこの町を占領された”ことを意味するのではないでしょうか。ダビデもその家来も神に用いられたに過ぎません。「聖なる山シオンでわたしは自ら、王を即位させた。」(詩編第2編6節)ダビデがエルサレムの主(あるじ)になっただけでなく、神がすべての真の王になられたことを表しているのです。
4月13日から受難週が始まります。エルサレムは主イエスが過越しの祭りの犠牲として十字架にかかり、甦られた場所です。①エルサレム占領と②神の箱の安置はエルサレムが、“どのような意味で神の都になるのか”を予め示しています。十字架で罪深い者を救ってくださることによって、神とその独り子イエス・キリストはわたしたちの真の王となってくださるのです。