「 12弟子の選び 」
政所邦明 牧師
マルコによる福音書 第3章31-35節
主題聖句:「イエスが…これと思う人を呼び寄せ…12人を任命し、使徒と名付けられた。…また、派遣して宣教させ…」
マルコによる福音書 第3章13,14節
クリスマスの季節になり、この時期によく読まれる箇所を読み返しております。東の国の占星術の学者たちは幼子イエス・キリストのおられる場所の上に止まった星を見て喜びに満ち溢れます。元のことばを日本語にそのまま置き換えますと「甚だしい大きな喜びを喜んだ」となります。筆舌に尽くしがたい喜びを経験しました。
一方天使のお告げにより救い主の誕生を知らされた羊飼いたちは飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てます。そしてその光景を見て幼子について天使が話してくれたことを人々に語り始めます。羊飼いたちが“喜んで”と聖書には書いてはありません。しかし、この人たちを突き動かしたのは占星術の学者たちと同じように“喜び”であったのでしょう。ただ羊飼たちが「神をあがめ、賛美しながら帰って行った」とだけルカ福音書は表現します。おそらく人に語り伝える原動力は“喜び”に違いないのです。
主イエス・キリストが12人の弟子を選び、宣教に遣わされました。12人が一念発起して自主的にというのではありません。送り出されたのです。最近「背中を押す」という表現を耳にするようになりました。突き出すのではなく、そっと押すのです。占星術の学者たちも、羊飼いたちも、喜びに満たされ、他の人に語らずにはおれなかったのだろうと思います。救い主キリストに出逢ったからです。12弟子に先立つこと30年、喜びに押し出されて羊飼いたちは、キリストの救いを語る最初の宣教者となったのです。